精密板金加工

精密板金とは?

「板金」とは、薄く延ばした金属を意味します。「板金加工」はその金属に力を加えて加工することで、切断、穴あけ、曲げ、溶接、絞りなどの加工があります。

「板金加工」は、自動車板金、建築板金、機械板金(一般板金、精密板金、プレス板金、製缶板金)などがありますが、業界により加工方法は全く異なります

ですから「精密板金加工」と呼んだとき、「精密さとはどの程度なのか」も異なってきます。弊社が属する半導体や医療機器向けの精密板金では、精密といえば曲げ寸法公差:0.1~0.2mm程度を意味しますが、建設業界での精密板金とでは、そこまで精密さを求めません。

「精度が良いほど品質が高い」ということではなく、必要以上の精度を提供するのは過剰品質であり、コスト高につながります。精密板金を依頼・発注する場合には、加工会社を選定するか検討する際、その企業が「どの業界向けの板金加工」を行っているのか、実績などで確認する必要があります。

板金加工とは

板金加工には、自動車板金、建築板金、機械板金などがあります。

建築板金とは?

金属屋根材、雨樋、外壁全般を施工する業種です。

家を守る屋根には瓦屋根と金属屋根がありますが、建築板金は金属屋根を作ったり修復したりします。

自動車板金とは?

車の凹みや、経年によってできたサビ・剥がれや変形を修復するのが自動車板金です。

一度塗装を剥がし、ボディやフレームに板金加工をし、また塗装をして、車がピカピカに生まれ変わります。材料としては鉄(鋼板・処理鋼板)、ステンレス、アルミなどが使用されます。

機械板金とは?

機械板金加工では、金型に金属板をはさんで機械的な圧を加えて型どおりに成形します。

機械板金加工は、使用する金型によってプレス加工と板金加工に分かれますが、板金加工の中でも寸法公差が厳しい板金加工の分野を「精密板金」と呼びます。ここには明確に精度についてガイドラインがあるわけではありません。

プレス加工と板金加工の違いとは?

難しい曲げ加工は熟練の技術が求められます。
板金-ベンダー曲げ加工
量産プレス金型
量産プレス金型

プレス加工板金加工は、どちらも機械板金に属しますが、対象とする「生産量」が異なります。

プレス加工では大量に同じ製品を生産するため、耐久性のある金型を製作します。イニシャルコストと金型の立ち上げに時間を要しますが、一度生産が始まれば何万個という製品を効率よく製造ができます。

板金加工は量産前の試作や、そもそもそれほど大量に部品が必要ではない分野に向けて、汎用の型を組み合わせて金属に加工を行います。独自に型を作ることもありますが、必要な量の生産に耐えられる耐久性のみ考慮します。プレス型のように大量生産に耐える必要はありませんので、ワイヤーカットや機械加工で型を製作でき、スピーディです。

一般板金加工と精密板金加工の違いとは?

精密板金加工とは、板金加工の中でも「寸法公差が厳しい」ものを指します。前述のように板金加工では量産向けの金型を製作しませんので、人の手による調整も含めて「小ロット」を実現します。つまり、基本的には「プレスと比較して高い精度が出ない」のです。

精密板金加工も板金加工も、切断、穴あけ、曲げ、絞り、溶接など加工内容は同じです。しかし「プレスより精度が出ない」という前提にどのように向き合い、さまざま工夫を行って可能な限り精度を追求するかどうかが、板金加工会社の姿勢によって変わります。

医療機器部品、半導体部品、ロボット向け部品など、寸法公差が厳しい部品を依頼したい場合は、「精密板金加工」を行っている企業かどうかというよりも、実際の製作実績で、どの程度の寸法公差を実現しているのか確認するのが良いでしょう。「精密さ」にJISなどで公式のルールがあるわけではありませんので、企業によって捉え方が異なるためです。

一般的には、曲げ寸法公差:0.1~0.2mm、パンチングによる抜き加工公差:0.05mmほどを精密板金と言うことが多いでしょう。

当社では形状にもよりますが、抜き±0.02、曲げ±0.05、溶接±0.1を実現しています。

素材としては、鉄、アルミ、ステンレスに加えて真鍮、銅、バネ材(SUSバネ材、バネ用リン青銅、ばね用ベリリウム銅)なども使用され、板厚は1mm~3mmと薄いことも精密板金加工の特長です。板金加工実績についてもご覧ください。